大正浪漫の宿 渡月庵/味の宿 宝仙閣のわくらむすび 海藻茶漬け

生まれた時から食べてきた味、奥能登の海藻でわくらむすびのおもてなし

「粘り気があるとろとろしたお茶漬けも珍しくて面白いかなーと思ってね、ちょっと変わった目線で。」穏やかな笑顔と優しい口調が印象的な多中さん。とろとろの正体とは、能登沖の採れたての海藻、アカモクとカジメだ。多中流わくらむすびには、それに粕汁がかけられる。
珠洲出身の多中さんの家の海藻みそ汁には必ず酒粕が入っていた。「海藻には粕汁、そういうもんだと思って食べてました。何でかなんて考えた事もないですね。とろみが増すのかなあ。」海藻と酒粕の相性がいいことは、奥能登では昔からのあたり前として根付いている。昔は海が荒れた次の日の早朝に海岸に行くと海藻が沢山採れたというが、今は昔ほどには採れなくなり、寒い冬にしか採ることのできないカジメやアカモクは貴重な海藻でもある。
新鮮な海藻に温かい粕汁をかけると、茶色から濃い緑へと変わる変化が美しい。その上に雪のように積もる酒粕の粒は能登の冬景色を思わせ、添えられた酢漬けの能登むすめはピンクの花のように鮮やかに並ぶ。つい見いっていると粕に混じって磯の香りが立ち上がり鼻を刺激する。
奥能登の冬に受け継がれてきた”とろとろ”はやはり寒さ知らずだ。最高にホットなこのひと椀は目と鼻と舌でご堪能あれ。

Taste Wakura Musubi along with seaweed eaten by locals in Oku-Noto since childhood.

Chef Tanaka from Suzu makes a unique Chazuke with a gelatinous texture, using fresh, valuable Akamoku and Kajime seaweeds from Noto, which can only be gathered during the winter. Pour the broth made of sake lees onto the seaweeds and they will turn from a brown to a strong green color and develop a gelatinous texture. People in Oku-Noto have enjoyed the good balance of seaweed and sake lees ever since the old days. The hot dish is a visual, aromatic, and flavorful treat.

料理人 多中羊一 Chef Yoichi Tanaka

料理人 多中羊一 Chef Yoichi Tanaka