花ごよみのわくらむすび 椎茸の佃煮むすび

椎茸は、他の食材の美味しさを引き立てる緑の下の力持ち。

「出来るだけ地元のものを使いたい。」北村さんの椎茸佃煮むすびからは、地元愛がまっすぐに伝わってくる。渋茶色した椎茸がころころと顔を覗かせる面構えは素朴な雰囲気が漂い、なんだかほっこりする。その名も「ほっこりくん」というこの椎茸は、和倉の潮風を受けて育った原木椎茸だ。昔から能登の気候風土は椎茸作りに適しているといわれ、その湿度と風通しを生かして、家で椎茸栽培をしている人も少なくない。
「家にも原木椎茸があって、親父から椎茸とってこいと良く言われました。昔はこの辺りのほとんどの人の家にあったね。椎茸というのは単品では好まれなくても、他のものと絡んだときにすごく美味しく素材を引き立てるんじゃないかな。」
北村流椎茸佃煮むすびには、肉厚で味も香りも力強いほっこりくんが、いしりを隠し味に甘辛く煮立てられ、おむすびの中にたっぷり入っている。子供や女性も好むような甘口仕上げだ。椎茸の食感はきちんと歯ごたえがありながら、旨味がふわっと口の中で広がるのは、さすが原木栽培の椎茸ならではの豊かな旨味である。
椎茸の引き立ての威力はお米だけでなく、蕎麦つゆと鳥居の醤油を絡めた出汁や、わさびの辛さのそれぞれに対しても発揮する。華美ではないがその存在なしではあり得ない力の持ち主。旨さの陰には椎茸あり、を教えてくれる一椀だ。

Shiitake mushrooms enhance the flavor of other ingredients.

Chef Kitamura makes Musubi with simmered, Genboku shiitake mushrooms that have been grown locally on logs. Noto’s climate is suitable for shiitake cultivation, and people in Noto often grow their own shiitake at home. Kitamura’s family is no exception. Shiitake do not work well on their own, but they do combine very well with other ingredients. The secret of the flavor in Kitamura’s dish lies in Noto’s thick, aromatic shiitake mushrooms with their strong flavor.

料理人 北村金次 Chef Kinji Kitamura

料理人 北村金次 Chef Kinji Kitamura